「風に舞いあがるビニールシート」

00165.jpg森絵都の「風に舞いあがるビニールシート」を読みました。自分の価値観を大事にして大切な何かのために懸命に生きる人々を描いた6つの短編。「カラフル」も面白かったけど、大人を描いたこれはさらに好きな作品集でした。オーナーパテイシェのため撮影用の美濃焼の器を求めてクリスマスイブに多治見まで出かけることになった弥生を描く「器を探して」。仕事と恋人を天秤にかける話と解説されていたけど、本物に出会えた喜びこそが弥生の「大切な何か」だと思う。ほかのものとは違う本物だけがもつ輝き、その器に盛り付けられたオーナーが創る絶品の新作ケーキとの完璧なバランス、わかる者だけが感じ合えるシンパシー。そんな奇跡に出会えた弥生の高揚が伝わって来ました。
続く「犬の散歩」の主人公は行き場をなくした犬を預かり、里親を探すボランティアをしている恵利子。犬猫の収容センターで殺処分されようとする子たちを見てボランティアに参加、活動費を夫の給料からではなく自分で稼ぎたいというのが彼女のこだわり。こむぎもまさにそんな活動で救われた1匹だけに身近な話でした。難民支援の国連機関で働く夫との関係や生き方に迷う表題作の里佳と平凡に暮らしてきた恵利子は全く違う人生、キャラクターだけど、洒落たレストランでランチに興じる女性達とは違う価値観を持つという点では同じ。殺処分されていく犬や難民の現状、支援団体の深刻な任務など重苦しい現実は見てみぬふりをして楽しい会話で盛り上がる。そんな日本の平和を享受しつつ、人とは違う一歩を踏み出し、頑張る主人公たちに、ささやかでも最後にちゃんとご褒美が用意されてるのが、読んでいて嬉しい。いつかまた読み返したいと思う一冊でした。
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