「お艶殺し」

C0105.jpg谷崎潤一郎の「お艶殺し」を読みました。谷崎が好きなので、時々ふと読みたくなります。大好きな「細雪」なんかもじっくり読んでみたいのですが、全集を持ち歩くのは重いのと、全集の似合うカフェって少ない気がして、手軽な文庫本を読んでいます。
中公文庫には表題作と「金色の死」の2作が収められています。「お艶殺し」は奉公先の一人娘と駆落ちしてから人を何人もあやめ、転落していく新助と芸者になって変貌していくお艶との顛末を描いた作品。ヒロインの変貌に翻弄される男といった「痴人の愛」に通じる世界で、江戸らしい風情を漂わせているものの、「痴人の愛」への習作いった印象でした。続く「金色の死」は作家と少年時代からの友人である岡村との微妙な関係、彼らが展開する芸術論とや岡村の最期を作家が回顧する形で書かれています。華々しく文壇に登場した人気作家は谷崎自身を思わせ、芸術は人間の肉体美から生まれると身体の鍛錬に励む岡村は何となく三島を思わせると思っていたら、この作品を後の谷崎は嫌って全集にも収録しなかったのを、三島が谷崎の没後に発掘したんだそうです。絵画や彫刻は色彩や形態のみの効果によって観る人の頭に直覚されるべきもので、作品の背景にある歴史や知識は無用という岡村と、歴史を知っていれば余計興味が増すという私。これってモモ母もよく思うこと。例えば曾我蕭白が描く竹林の七賢とか寒山拾得を観た時、彼らのことをもっと知っていたら見方が深くなるんだろうな・・と思ったんだけど、反面、直感的に美しいと思えばそれで良いのだとも思う。いずれにしても全く違う空気の2作に谷崎の力感じました。
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