「陰翳礼讃」

535.jpg終わってしまうのが寂しくて「みをつくし料理帖」シリーズのインターバルに谷崎潤一郎の「陰翳礼讃」を読みました。学生の頃に読んだ時は厠と蒔絵の話しか印象に残ってないのですが、紙や食器、日本座敷から羊羹の色、歌舞伎に至るまで様々な日本の美を考察しています。特に西洋人との肌の違いに集約しているところが興味深い。薄明りの中で判然としない女性の曖昧さに日本女性の美しさがあると言うのは御簾の中で源氏を待つ姫君を思わせます。そして、日本は変わったなとも思い知らされます。先日、論語塾を主宰するNさんが「日本人は西洋人は自然を征服することを目指し、東洋人は自然と共生することを目指したが、現代の日本人は自然をたくさん破壊してきた」とおっしゃってましたが、闇との調和に東洋人が美を見出すとする谷崎の視点に通じます。折しも広島の災害の後だったこともあり、日本人が失くしたものの大きさを痛感します。でもね、谷崎先生、病院はやっぱり明るい方が良い。暗さは薬の匂いが漂う診察室や寒々とした廊下、感染症になりそうな病室を思い出させます。真っ白な病室は良くないと温かみのある色調になった今の施設に心地よさを感じます。
「旅のいろいろ」も興味深い。著書の中に自分が好んで行く所が何処か具体的に明かさないドイツ人旅行家。その土地が世間に知れると、都会の客が押し寄せて、地元でも色んな宣伝をする結果、本来の特色が失われるからで、食通にも同様の人が多い。そういう店はチマチマと商売してるうちが良いので、繁盛し出すと直に増築などして外観が立派になる代わりに材料を落としたり、料理の手を抜いたり、サービスがぞんざいになるので、こっそり行く方が自分もいつまでも楽しめ、店をスポイルすることがない。谷崎自身もこうした人の心掛けを学んでいると。この作品は昭和10年に書かれたそうで、当時も今もおんなじですね。スポイルとはよく言ったものです。でも、貸切状態で透き通る様な浜を満喫できる瀬戸内海の某島は、今はもうそんな風ではないんだろうな・・・。
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