「凶刃~用心棒日月抄」

586.jpg藤沢周平の「凶刃」を読みました。終わるのが勿体なくて未読だった「用心棒日月抄」の第四作。手持ちの「みをつくし料理帖」シリーズを読んだら、次は絶対これを読もうと決めていました。第三作「刺客」から16年の歳月が流れた、後日談の様な最終話で、これまでは短編連作で構成されていましたが、これは長編。相変わらず読み応えがあって、緊迫した場面など、ページを追うのもドキドキものでした。同じ時代小説でも魅力的な作品ながら若さゆえの脇の甘さが垣間見える高田郁の後に読むと、藤沢周平の成熟した筆致に心底感服します。
主人公の又八郎は今回も密命を帯びて江戸に赴くものの、若き日の様に脱藩した浪人ではなく、藩士として仕事をしている組織人。再会した口入屋吉蔵や細谷の姿に、気ままな用心棒暮らしをしていた日々がもう二度と戻らない遠い過去となった現実をみせつけられ、彼自身もう若くないことを自覚している。川本三郎の解説は「青春の終わりの確認である」と書いています。それは読むモモ母の周囲の人達の近年の零落や老いとも重なるところがあって、主人公の心情は一層リアル。今の様に数時間で東京に行ける時代と違って、終盤の二度と会うことのない別れが近づく場面の切なさは、胸に迫りました。でも、ちゃんと笑顔になれる結末が用意されていて、読後感は爽やか。ほんとに藤沢周平って良いなぁ・・・。
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