「この女」

626.jpg森絵都の「この女」を読みました。元ディレクターOさんが「みをつくし料理帖」の続きを送るまでのつなぎにと送って下さったうちの1冊。表紙の印象はあんまり心惹かれなかったけど、Oさんが「つなぎ以上です」と書いておられたので手にしてみると、確かに勢いというか迫力満点で、読み応えがありました。読後には森絵都の中で一番かもと思ったほど。
物語は1994年から翌1995年1月阪神大震災が起こる2日前の日曜まで。釜ヶ崎のドヤ街に暮らす礼司が、神戸のホテルチェーン経営者の妻・結子の話を小説にしとて欲しいと依頼されて書いた作品という形を取っています。森絵都って関西の人だっけ?と思ったほど、関西弁の台詞に妙に味がある。結子の息子・伸太郎の誕生日プレゼントに送った玩具のマシンガンの銃口を突き立てられた礼司が、慎太郎と会話を交わした後、「おっちゃん、プレゼントありがとうな」と言われ、「おお、早速、役に立って本望や」と答える場面はいかにも大阪っぽくて笑えました。結子のおいたちだけでなく、礼司の過去や小説依頼の真意が明らかになり、残り頁が少なくなるにつれて1月17日が近づく訳で、読者としてはハラハラ。松本サリン事件が起きたり、村山内閣が誕生したり、94年ってそういう年だったんだな、もう20年前か・・・と思うけど、古さは全くありません。寧ろ釜ヶ崎カジノ計画はまさに昨今の大阪IR構想だし、結子が釜ヶ崎の日雇い事情が悪化したことに驚く場面があるけど、アベノミクスとは無縁で深刻度は更に増している今、読むと妙にリアリティがあります。震災から間もなく20年。日本のこれからを問い直す意味でも、是非読んでおきたい一冊です。Oさん、送っていただき、有難うございました。
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