「天の梯」

813.jpg高田郁の「天の梯」を読みました。昨年からハマっていた「みをつくし料理帖」の最終巻。主人公の料理人・澪は予想していた人と結ばれ、悲願のあさひ太夫の身請けも実現して完結する訳ですが、最後の落ち着きどころはちょっと意外でした。書き出してから展開を考える作家もいるけど、こうしてみると、作者が予め全体のプロットを作り込んで書き始めたことがよくわかります。読みやすく、美味しそうな料理が次々登場して楽しいシリーズでした。
料理人の理想像として描かれる澪は、現代食事情への作者のアンチテーゼの様に思えます。自ら考案した卵の味醂漬「鼈甲珠」を「一時持ち上げられ、すぐさま飽きて忘れられる様な料理にしたくない、廃れていくのでなく、時をかけて育まれて行く料理であってほしい」と思う澪。注目され、大量消費されて消えていくお菓子や料理の何と多いことか。料理人として名を残すのでなく、考案した料理こそを未来に残せれば本望という澪。有名になりたくて料理を志す風潮はちょっと違うよね、と思う反面、これは女性故の望みなのかも・・・と思う。陳建民のエビチリや木村屋のアンパンと違って、例えばいなり寿司とか、かぶら蒸しとか、和食って誰か考案した人がいる訳だけど、その名が殆ど残っていないのは、おそらく女性だからではないかと。そして翁屋におさめる二百文の料理も、自らの店先で売る二十文の料理も、どちらも気を抜かず、手を抜かない澪。これ、現実はなかなか難しい。モモ母だってギャラの高い仕事の方が気合が入るから人のことは言えないんですが、格差がどんどん広がる昨今、高級料亭で富裕層が食べる料理と同じレベルの味を貧困層の子供達が食べる機会は限りなく0に近い。粗悪な材料でも口に出来るだけマシという国になりつつある日本で、旬の食材を無添加で、安価で美味しく提供してくれる澪の様な志の高い料理人が一人でも多くいてくれればと思うのですが、所詮小説の中だけのお話でしょうか??
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

モモ&こむぎ母

Author:モモ&こむぎ母
FC2ブログへようこそ!

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR