「気分上々」

1-10.jpgアーク写真展」に行った時にレティシア書房で森絵都の「気分上々」が目にとまりました。9つの作品からなる短編集ですが、長いけど一気に読めた「この女」や「カラフル」と違って、結構読むのに時間がかかりました。でも読後感は不思議と悪くない。
自分を変えたくて親友と絶好したり、一族の掟や生まれた土地から逃れようとしたり、理由は色々あるけど、どれも簡単に言うと「もがく話」。名前の漢字が必ず左右対称であるべきという草間家の子孫教育を受けた女優の草間由果が息子に語る「東の果つるところ」は、由果が好きになった俳優の本名が左右対称だったという悲劇。呪縛から逃れようと本人は必死なのに、漂うテイストは長めのショートショートみたいで、読む者はその設定に笑ってしまう。質素な食事しか知らない退屈な村から飛び出し、同士とも言える恋人と再び故郷に戻る「プレノワール」はストレートにジーンと来る話だけど、恋人が実は自分と同じ村の出身だったりして、嫌っているはずのことを無意識に求めてしまう、人の価値観って反発していても生まれた環境に大きく影響されてるんですよね。登場人物たちも読む私達も変わろうとしても結局変わらないかも知れないけど、変わろうとすることで見えることがある、見えたものを受け入れて前に進む主人公たちはどれも愛おしい。解説で瀧晴巳は「平凡を生きるのは難しい。誰もが多分、自分だけのささやかな哀しみをぎゅっと抱きしめながら、今日もありふれた毎日を生きている。大人になったとしても私達は何度も間違えるし、見失う。だとしても、間違えてもいいから踏み出さずにいられなかった一歩があって、そのことが自分を支えてくれる。希望というなら、それこそが希望なのだ」と書いています。読後が清々しいのは、読んでいる者が、ささやかな日々に希望を感じるからなんですね。あ、余談ですが、モモ母の本名ってほぼ左右対称です☆
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