「谷崎潤一郎犯罪小説集」

1-56.jpg谷崎潤一郎の「犯罪小説集」を読みました。先日のNスペによるとノーベル文学賞の選考委員会から日本の作家の評価を求められたドナルド・キーンさんが谷崎が最も有力、二番が川端、三番が三島と返事していたとのこと。けれどその後、谷崎が亡くなり、川端が日本人初のノーベル文学賞に選ばれたそうです。谷崎が生きていたらなぁ・・・・。
この作品集は「細雪」や「吉野葛」等といった谷崎文学の本流とは異なり、あくまで支流ではあるけれど、日本の推理小説の元祖と言われる江戸川乱歩より前にこんなミステリー作品を残していたなんて、やっぱりすごい。乱歩も谷崎ほど刺激的な作家はいなかったと語っていたと言います。4つの作品が収められている中で、メインは何と言っても映画館で入手した暗号文を解いた園村に連れられて、殺人事件の現場を目撃する「白昼鬼語」。大正7年に書かれたものです。前の「柳湯の事件」「途上」「私」は短編で、いずれも語り手が事件を主観的に語っていく手法。だから読者はその範囲でしか物事が見えない。それゆえ語り手と共に心理的に追い詰められたり、結末に驚いたりする訳です。前の3作でそのことを学習しているから、ラストの「白昼鬼語」では話が出来過ぎ、なんか裏がある・・と思って語り手の言葉を半ば疑いながら読むことになるけど、どんでん返しは思ったのとは違って、意外と単純。でも、穴から部屋の中を覗いたり、謎の女性が艶っぽい美女だったりと谷崎らしさに溢れていて、独特の世界に引き込まれます。言葉遣いや風俗は時代を感じますが、作品の迫力や完成度は戦前の作品とは思えない。さすが谷崎です。
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