「霧の果て~神谷玄次郎捕物控」

1-150.jpg藤沢周平の「霧の果て」を読みました。主人公の神谷玄次郎は腕利きの同心ながら、料理屋の二階にしょっちゅう入り浸って見回りもさぼりがち。でも根っからいい加減な訳じゃないんですね。同心として真面目にコツコツと仕事をして来た父親が、ある事件の為に妻と娘を殺され、上役からは探索に待ったがかかって、事件は藪の中。圧力をかけて来たのは、どうやらかなり身分の高い人物らしい。玄次郎が自堕落なのは、父を見捨てた奉行所に対する不信感が根底にあって、謹直だった父への労わりも混じって実直に働くことへの反発がある。単なる自堕落者とは違います。
最初の「針の光」で、かつてのあいつが再び現れたと言うから、父の事件に関わっていくのかと思ったら、あっさり犯人が捕まって終わったので、あれ?と思ったけど、基本は1話ごとに事件は解決。後半に父の事件の新たな手がかりが少しずつ得られ、終盤に大きく動いて、ラストの「霧の果て」で決着。藤沢作品には色んなキャラの主人公が登場しますが、どの人物も魅力的だし、テンポがあって読んでて楽しく、ハズレなし。でも父が関わった事件の真相は、わかってみれば玄次郎にとっては虚しいもので、霧が晴れたのに心は晴れないという。この後、彼は同心を続けるのか、いや、お津世と一緒になって料理屋の主人に転身するのかも。結末の後も気になる一冊でした。
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