「神の子どもたちはみな踊る」

1-169.jpg村上春樹の「神の子どもたちはみな踊る」を読みました。世間の評判ほど村上春樹が好きではないので、数年ぶりの村上作品です。震災は被災した人は勿論、直接被害を被っていない人にも大きな影響を与え、中でもアーティスト達はその衝撃を作品として昇華させるワケですが、これは阪神大震災後の日常を描くオムニバス。丁度一年前に森絵都の「この女」を読んだので、2人の作家の手法の違いが明確でとても興味深かった。
「この女」に描かれる世界はリアル。物語のラストの翌日に震災が起きる設定だったので、彼らはどうなった? 無事に生き延びただろうか?と思ってしまう程。一方、こちらは描かれる人たちが被災した当事者でないことや寓話的表現がされたものもあって、どこか絵画や演劇を見ている様な世界。それはある種根源的な原風景を描いている様でもあって、ああ、こういう芸術性が受けるんだな、と改めて気づく。「この女」に出て来るのが釜ヶ崎に生きる日雇い労働者だったりするのに対して、こちらはドストエフスキーの「白夜」やジャックロンドンの「焚き火」なんかがごく普通に会話に出て来る都会的な人達だったりするのも、読む人の知性をくすぐるんでしょうね。で、阪神大震災にまつわる両作品、どっちもアリだわ・・と思う。神戸とは間接的なつがりしかなくても、そこに「あの人」がいると思うとやはり気になる。それは東日本も同じ。自然災害の前に人は無力だし、起きてしまったことを知らなかった頃には戻れないけれど、新たな生き方を始めることは出来るよね、と思わせる最後の作品「蜂蜜パイ」が好きでした。今まで読んだ村上作品、例えば「ノルウェーの森」なんかよりも、これが一番好きです。因みに「タイランド」のラストで主人公の女性はエロル・ガーナーの「四月の思い出」のメロディを思い出すんですが、最近エロル・ガーナーの「ミスティ」を聞くと、何故か切なくなるモモ母です。
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