「路」

1-225.jpg吉田修一の「路(ルウ)」を読みました。度々文庫本を送って下さる元Oさんから最近届いた中の一冊。Oさんからは「台湾に行きたくなります。安倍さんにも読ませたい。お詫びとはどういう事かを知ってもらう為に」とコメントされていました。
台湾に新幹線が走るまでの7年間を描いた長編で、2000年「逆転」に始まり、2007年「春節」で終わる1章1年構成。様々な人物が並列で描かれた、まさに群像劇です。新幹線事業を受注した商社に務める春香と台湾で生まれ大手建設会社を定年退職した勝一郎を主にしつつ、春香と運命的な出会いをして日本で働く台湾人の人豪、台湾に単身赴任した安西、やがて高速鉄道の整備工場で働くことになる威志など、それぞれの7年を生きる姿が丁寧に描かれていて、読み応えがありました。生まれ育った年代や土地、置かれた立場で、同じ台湾でも見ている風景はかなり違う。その中で、誰もが路を懸命に歩み、やがては人生を終えていく姿にじーんとなります。勝一郎が数十年ぶりに訪れた台湾でかつての友の中野に再会し、いよいよクライマックスかと思ったら、あっさりその場面は終わって「あれ?」と思ったけど、久しぶり過ぎてお互い突っ込んだ話はしなかったんですね。二度目の訪問で、ずっと後悔していたことをついに口にする。その距離感がとてもリアルです。80代の勝一郎が二度目の台湾旅行で懐かしい場所に立つ場面を読んで、父を生まれ育った五条に連れて行きたいなと、ふと思いました。そして香港が流れる景色が世界一美しいとすれば、台北は立ち止まった景色が世界一美しい街ではないかと春香が思う場面で、モモ母はかつてステイしていたボストンの美しさを思い出しました。Oさんが言う様に読んでいると台湾に行きたくなるんですが、今はかなりボストンを再訪したい気持ち。読む人それぞれに「世界一美しい街」があり、それぞれの「路」があるんですね。
http://hon.bunshun.jp/sp/lu?page=1
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