「百枚めの写真~一銭五厘たちの横丁」

1-373.jpg10日、11日に呉竹文化センターで上演された京都労演7月例会トム・プロジェクトプロデュース「百枚めの写真~一銭五厘たちの横丁」を観ました。出征した軍人の留守家族を紹和18年に撮影した99枚の写真と30年後の昭和48年に出会ったルポライター児玉隆也が、家族たちを探して東京の下町を取材したエッセー「一銭五厘たちの横丁」を原作にした作品。一銭五厘は太平洋戦争時のハガキ代で、それは即ち召集令状が送られてくることに通じ、更にはハガキ一枚程の安い兵隊という意味でも使われたのだそうです。
根本家では若い男達に召集令状が届き、銃後の妹は勤労動員、そして空襲で亡くなり、やがて終戦。戦後になって健男の戦友が訪れ、彼の死を告げる。特にドラマチックな展開がある訳ではなく、戦時中、多くの家族が経験したエピソードが綴られます。戦死者の多くは戦いによる名誉の死ではなく、劣悪な環境での餓死や病死だったこと、好きな人との結婚を夢見た女性が空襲で突然若い命を奪われたこと。取り乱す母親と対照的に「国の為だ」と感情を隠す父親。そんな日が来るとは知らず、戦地にいる健男に送る為に一張羅の着物を着て笑顔で写真におさまる家族たち。幸せな日々が失われた後に残された家族写真ほど切ないものはないですね。舞台には昭和18年に実際に撮影された写真も写し出されていました。残された写真には「氏名不詳」と書かれていたそうです。でも、どの人にも苗字と親が思いをこめてつけた名前があって、戦争の中を生きたそれぞれの人生があったのに。東京大空襲と戦後の復興を経て、児玉さんは「氏名不詳」の99家族すべてを明らかにすることは出来なかったそうです。自民党改憲草案は「個人」を「人」と書き換えることで、それぞれの人生を生きる個人から、国民全体として扱おうとしている。その意味を「氏名不詳」とされた人たちから感じることが出来ます。舞台の児玉は「100枚目の家族を作ってはならない」と締めくくりますが、その台詞を聞いた数時間後、国民が選んだ議員は改憲勢力が3分の2を超え、安倍さんは早速「自民党案をベースに憲法改正を」とコメント。この芝居は、いつか100枚目の家族を作るであろう道を選んだ歴史的な日に観たという記憶に残る作品になりそうです。
http://www.tomproject.com/peformance/post-157.htm
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