「竹光始末」

1-412.jpg藤沢周平の「竹光始末」を読みました。藤沢作品の主人公は多種多様ですが、この短編集6作に登場するのは「たそがれ清兵衛」にも通じる、うらぶれたり、ちょっと冴えない市井の男たち。・・・と思ったら、映画「たそがれ清兵衛」は「竹光始末」も原作にしてる様です。表題の「竹光始末」の主人公・小黒丹十郎はかなり困窮していることが一見してわかる風貌。妻子を養うために刀を売って、竹光を指しているという有り様。「恐妻の剣」は口やかましい女房や子供から全く尊敬されてない。でも、2人共、腕が立つ。実力はあっても、それに見合う評価が得られるとは限らないのが世の常ということでしょうか。
最後の「遠方より来る」は甚平の家に曾我平九郎という髭面の大男が突然訪ねてくる話。最初はやってきた男が誰だか分からず、漸く思い出したものの、大した間柄でもないのに、居座り続けて飯を何杯もおかわり。女房は早く出て行ってもらえと睨むけど、そういう訳にもいかず、平九郎の為に仕事探し。自由に生きるということは、それ故にリスクも伴うし、時には孤独になることもある。下っ端でもお役所勤めをしていけば、気苦労は多いけれど生活は安定しているし、手柄をたてれば出世もさせてもらえる。けれどただ働いて妻子を養い、年を取って一生を終えるだけの人生に、なんだかなぁ・・という気持ちにもなる。ひと騒動の後で平九郎が出て行くと、甚平はほっとしつつ、のんきな彼が羨ましくなる。甚平は昇進してから胃の腑を壊しているというオチもついて、どっちの人生も大変そうです。それは舞台となった江戸時代も、作品が描かれた昭和も、現在の平成も変わらない、日本の小市民の現実ですね。
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