「雪と珊瑚と」

1-522.jpg梨木香歩の「雪と珊瑚と」を読みました。梨木作品は「家守綺譚」は大好きだったけれど「裏庭」などはイマイチ。これはどうかな~と読む前は思いましたが、なかなか好きな作品でした。赤ん坊の雪を抱えた21歳のシングルマザー珊瑚が、「一日働いて帰って来る人が元気を取り戻す様な総菜を提供したい」と総菜カフェを起業し、成長していく物語。女性が店を始める話として「食堂かたつむり」を思い出しましたが、こちらの方が断然完成度が高い。カフェ開業を夢見る人には良き指南書に、立ち止まっている人や人間関係に躓いている人には前に踏み出す力になりそうな小説です。
現実はそんなに都合よく赤ちゃんを預かってくれる女性が現れたり、その人が料理上手だったり、その甥が無農薬野菜を作ってたり、借りることになった民家を好きに改装していいよと大家が言ったりしないでしょうし、カフェをやろうと思い立って実現し、駅ビル出店の話が持ち上がるまであまりに早すぎるとは思うけど、梨木作品はある種の寓話。自分は孤軍奮闘してるつもりでいたけど、親身になってくれる人が周囲にたくさんいたことに気づく珊瑚。そして周囲の人も皆それぞれの破綻を抱えながら、辛うじて社会は回っているのだと知る。「人は潜在的に復興しようと立ち上がる力があるけれど、それを確実なものにしていくのは温かい飲み物や食べ物」と外国の修道院で暮らしたことがあるくららさんは言います。丁寧に作られた滋味な料理は生きる糧となり、居心地の良い場所は人の心を癒す。そのことはモモ母も身を持って実感する日々です。解決しないことがあっても、毎日の生活は前に進む。いろんなものを栄養にして、人は生きていくんですね。
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