「恋歌」

1-567.jpg平成の治安維持法とも言うべき共謀罪の成立なしに五輪は開けないと安倍さん。五輪開催中は基本的人権を制限する話もある様で、松井計さんの言ってることの方が正しいと思います。
さて、朝井まかての「恋歌」を読みました。最初は上級国民のお嬢さんの思い出話という感じだったのが、途中から盛り上がりが凄くて、どんどん引き込まれました。「樋口一葉の師匠」として知られる歌人中島歌子は水戸藩士に嫁ぎ、幕末の内乱に翻弄されて投獄。天狗党の志士である夫や愛情深い爺やを志半ばで失った壮絶な過去を綴った手記を、弟子の三宅花圃が読む形で物語は進行します。
勝てば官軍とはよく言ったもので、良き国を作ろうと願いながら逆賊にされた天狗党は妻や子供まで投獄。「貧しさと抑圧が怖いのは、人の気ぃを狭うすることやな」と貞芳院が言う様に、男が始めた戦の為に愛する者と離れ離れになり、獄中で次第に礼節をなくす民の中で、処刑直前まで論語等を学ぶ武家の妻子。教育の大切さを感じさせる場面でした。情勢が変わると、天狗党を弾圧した諸生党が今度は虐げられる側に。攘夷だったはずの薩長が維新後の文明開化を積極的に謳歌し、多くの犠牲を忘れたかの様な平和に複雑な思いの歌子。手記を花圃が読む形式はまどろっこしくてイマイチと思ってましたが、大矢博子の解説によると、この作品は「伝えること」もテーマのひとつだとか。志に生きた男には敵にも味方にも妻や子供がいて、内乱の中を生き抜き、再生して行った。幕末の悲劇を知らず、ちゃらちゃらした明治生まれのヒヨっ子たちに、名も残せず死んで行った男たちや喪失を抱えて生き続けた女たちの犠牲の上に今が成り立っていることを歌子は伝えようとし、伝えることの積み重ねで歴史は出来ているのだと。なるほど、治安維持法を復活させようとする動きがある今、平成のひよっこである私達も、歴史を学び、受け継ぐ必要性を改めて感じます。
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